調査研究事業

現観光客向けの防災対策の現状調査

 和歌山県は豊かな観光資源を有しており、とりわけ紀南地域にはさまざまな資源が多く、日本のみならず世界から観光客が訪れています。一方、紀南地域は南海・東南海地震に伴う「津波リスク」を抱えた地域でもあります。和歌山県では観光客向けに対して「安心と安全をおもてなし」を掲げ、避難先の検索システム(アプリ)や災害メール配信サービスの案内を行っています。

 実際に災害が発生すれば、頼るところがない観光客は近くの避難所に避難せざるを得ません。避難所では地域住民の対応は想定されているものの、観光客までは想定されていない可能性があります。本調査では、和歌山県紀南地域の主要な観光資源の近くに指定されている「避難所」について、観光客受け入れ態勢の現状と課題を把握することを目的としています。

若手農業経営者における労働力不足に関する実態調査

 人口減少化のもと、農村地域ではこれまでのように地域内で労働力を確保することは困難になっており、事態は今後一層深刻化するとみられています。そのため、若手農業経営者は労働力の確保を強く求めており(日本農業新聞20180501)大学生も含めた地域外の労働力の活用に期待が寄せられています。このことは、和歌山県内でみても、同様の意見が聞かれます(JA和歌山県青年部リーダー研修会ヒアリング。  平成30年4月27日開催)が実際に、どの品目で、どの時期に、どの程度の労働力が必要なのかという実態調査は行われていないのが実情です。

 そこで、今後の地域農業の担い手となる若手農業者にヒアリングを行い、本調査結果を労働力確保に向けた対策検討の基礎資料として活用します。

「紀伊半島のさんま食文化研究会」設立

 きのくに活性化センターが過去に作成した「さんまずし・なれずし」リーフレットや『奥熊野北山村の民俗誌』を読んだ市民からほしいという声がいまだに寄せられているほか食文化の活用・研究の先進地の滋賀県の大学関係者から、「さんまのなれずし」に関する問い合わせがあります。いずれも、さんまとなれのすしは和歌山県を代表する食文化であるという見方が根底にあります。さんまずしの文化を地域資源として再評価し、地域づくりに活かす必要性がここにもあります。

 伝承女性、料理人、料理研究家、漁師、米穀店主などに呼びかけて、地域にネットワーク組織を立ち上げ、学習会や交流会を開催し、紀伊半島南部の食文化の豊かさの発信をめざします。紙面で「ふるさとの食文化」の連載をしている紀伊民報などとの連携も検討しています。

きのくに研究「廃校舎はいま~学校の活用と地域コミュニティ」

 紀南地方を中心に和歌山県内で行なってきた廃校舎の調査研究で、当初提案の「廃校舎活用モデルの研究―廃校舎活用と地域コミュニティ」を、「きのくに研究」として、題目は標記のように改題して作成します。本事業は、地域における学校の存在と役割の重要性を考えるとともに、廃校舎をあらたな拠点に地域コミュニティの再生につなげる動きを捉えることを主目的とし、廃校舎の活用モデル集的な要素を持たせます。